香港碼頭日記

香港での生活を徒然なるままに、、、

Carousell

引っ越しにあたって、不要な家具をすべて売り払った。新しい住居は必要な家具がすべて備え付けてあるので、大きな家具は処分する必要があったのだ。結局、コーヒーテーブル以外はすべて売ったことになる。

退去日まであまり時間がなかったこともあり、売却値段は気にせず手軽に早く取引を成立させたかったので、オンラインで中古品を売買できるCarousell というサイトに出品してみた。オンラインで相対で取引をするのは初めての経験だったこともあり、しかもそのサイトの主な参加者は日本人ではないであろう状況で、まさに暗中模索状態で始めたわけだが、これがなかなか大変だった。ダイニングセット、ベッド、書棚など5つほどを同時に出品したのだが、予想以上に興味を示してくれた人が多くてチャットの書き込みへの対応に追われることになったのだ。チャットで興味を示してくれた人のなかには、"I am interested!"とか"Still available?"とか言ってくるわりに、出品の内容(サイズとか引渡し方法、タイミング等)をまったく確認していないケースも少なからずあって、何往復かメッセージを交換した後で結局条件が合わないこともたびたびだった。

特にフリーで出品した家具については、基本的に最初にコンタクトしてくれた買い手に優先権を与えるのがフェアだろうと思って対応していたのだが、途中で「ダイニングセットの椅子だけが欲しい」とか「書棚と飾り棚がセットになっているが、飾り棚だけもらいたい」とか注文をつけてくるケースもあって、チャットでのやり取りを通じて相手の信頼度・本気度を値踏みしながら買い手(引き取り手)を選定することになった。

取引内容をお互い合意したにも関わらず、引き取り日の2日前になって「諸事情により引き取れなくなった」と言ってくる人もいて、正直一連の売却作業ではかなりストレスを感じることが多かった。

そんなこともあって、いざ引き渡しの当日になると「最悪ドタキャンされた場合はアパートの管理人にお願いして費用負担してでも処分してもらうしかないな…」と開き直って待つという心境。これだけいいかげんな感じだと、こちらが「結局、家具処分できなかったけど引き取り手が出てくるまでもう少し待ってもらえない?」と大家さんに交渉するのも可能かもしれないとも思い始めていた。

最初に現れたのは、フィリピン出身の明るいご夫婦と旦那さんの友人という男性。約束していたダイニングセットのコンディションの良さを見て、(日本人の感覚からすると)大袈裟に喜んでくれたのに加え、他の家具も眺めながら「これ全部処分するのか?」と関心を示してきた。実はベッドフレームとマットレスを引き取る予定だった人が急遽キャンセルして…と説明すると、旦那さんの友人(運送業を営んでいるそうだ)が、「俺のベッドだいぶ古いから、このベッドフレームとマットレス貰えないかな?」とのこと。渡りに船とはまさにこのこと、「はい、喜んで!」と即座に取引成立。収納付きベッドだったから、解体が大変かと思ったが、驚くほど手際よく解体し、ガムテープでパーツをまとめて運び出してくれた。

次に来たのは、書棚と飾り棚のセットを落札してくれた近所に住んでいる親子。気立ての良さそうな東南アジア系の奥さん、寡黙でまじめそうな旦那さん(中華系ではなく、アジアかアフリカの南方系かな)、少し遠慮がちな小学校低学年くらいの男の子。飾り棚の下部に傷があったのでフリーで提供したのだが、奥さんが感謝のしるしとしてネーブルオレンジを持ってきてくれた。旦那さんの書籍が増えすぎたので、ちょうど書棚を探していたとのこと。男の子の学校の同級生に日本人の子供がいるらしく、その子から教えてもらったという日本語で「こんにちは」と恥ずかしそうに挨拶してくれた。

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頂いたネーブルオレンジ。こうした心遣いがとても嬉しかった(しかも、このオレンジはとても美味しかった!)

最後に来たのは、香港人の若いカップル。二人ともあまり英語が得意でないらしく、黙々と家具の解体作業をしていく。組み立てるときのことも考えて、ひとつひとつ確認しながら解体している様子はいかにも生真面目な印象で、最初に来たフィリピン系の人達とは好対照だ。どうやら沙田のほうから来たらしく、カップルの友人らしき女性二人が乗用車で家具を運んでくれるとのこと。重いものを運び出して車に積み込むのを手伝いながら、香港にどれくらい住んでいるのか、どうして引っ越すのか等、広東語も少し交えながらちょっとしたコミュニケーションを楽しむ。

買い手とのやり取りなどでいろいろと面倒なこともあったが、最終的には買取業者ではなくて、実際に家具を使ってくれる人たちに譲ることが出来てよかったなと感じた。事前に家具をきれいにしておいたので、コンディションに満足してもらえていたようだったし。そして、家具の売買を通じてたまたま出会った人達とのちょっとした触れ合いが、自分の香港生活に少し彩を添えてくれたような気がした。