香港碼頭日記

香港での生活を徒然なるままに、、、

くるみ割り人形

もうクリスマスか。子供の頃は、正月よりも誕生日よりもクリスマスイブが一年で一番大きなイベントだった記憶がある。お願いしたプレゼントをサンタクロースが寝ている間にこっそり届けてくれるなんて、そんな非日常的なイベントは他にないだろう。もちろん心底サンタの存在を信じていた訳ではないが、「サンタクロースなんて本当はいない。親がプレゼントをこっそり置いてくれてるんだ。」なんて、あたかも自分は何でも知ってるぞと言わんばかりに得意げに言ってる同級生を見ながら、「無粋な奴だなあ。せっかくだから非現実的なイベントを楽しんだほうがいいだろ。」と思っていた。

そうして小学生の間は12月になるとサンタさんに欲しいプレゼントをお願いして(ベッドの枕元付近の壁に欲しいものを書きつけたメモを貼ったりして)、24日は母が作ってくれたご馳走とケーキを食べて、翌朝のプレゼントを楽しみに就寝するのだ。子供心に、両親にはこのイベントを首尾よく進めてもらいたい、つまりサンタクロースの存在を否定せざるを得ないような不手際はあってほしくない、と思っていたものだ。

ある年のクリスマスに妹が「くるみ割り人形」をサンタさんにお願いしたことがあった。たしか、まだ妹が小学校に入るか入らないかの年齢だったと思う。どうして「くるみ割り人形」なるものの存在を知り、それをクリスマスプレゼントで欲しいと思ったのか、その当時の自分には皆目見当もつかなかったが、どうやらクリスマスに関する絵本がきっかけだったようだ。

でも、40年以上も前の日本で「くるみ割り人形」を入手するのはさすがのサンタさんにも難しかったようで、妹のその年のクリスマスプレゼントはサンタさんのお詫びのメッセージとくるみ割り人形の代わりの何かだったようにうっすら記憶している。それ以来、クリスマスシーズンにくるみ割り人形を見かけることがあると、小さな妹がくるみ割り人形を手に入れられなかったことを思い出すのだ。

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くるみ割り人形って、こういう兵隊の格好をしている。妹もずいぶんと渋いチョイスをしたものだ。