香港碼頭日記

香港での生活を徒然なるままに、、、

ポンジスキーム?

www.nikkei.com

このところ気になっているニュースといえば、ワールドカップの日本代表戦と、この暗号資産交換業者FTXの破綻に関する報道だろうか。普段は自分の資産運用など無頓着なのだが(まあ、実際のところは運用するほどの金融資産もさして持ち合わせてないので無頓着なわけだが)、資金を大量に集めて急成長してきたこの手の企業が、もしかするとポンジスキームによってビジネスを拡大させてきたかもしれない、という事件を耳にすると強く興味を惹かれる。「成功者が実は裏で悪事をはたらいていた(だからこそ成功できた)」というストーリーを確認することによって、自分自身どこか溜飲を下げているような下衆な根性もあるんだけどね。

そして日本の国内だとこんなニュースも。

www.tsr-net.co.jp

運用者は、ファッションの専門学校を卒業した後、FXトレーダーとしての才能を開花させたとか…。まあ、学歴とトレーダーとしての才能は必ずしも比例する訳ではないからその点は置いておくにしても、この合同会社の社員権というスキームで資金集めをしていたというのはきな臭い。そもそも、なぜパススルーでもない合同会社を使うのだろうか。実質的に集団投資スキームに該当することを、金商法の規制を逃れるために合同会社というビークルを利用してやっているようにしか思えないのだが…。つまり、この合同会社の社員権スキームって、金商法の規制をかいくぐりながら投資家から資金集めするのに適したスキームであって、投資家側からみた場合のメリットがあるようには思えないんだよなぁ。いつの間にか、こんなストラクチャーが集金システムとして出てきていたとはね。

まあ、さすがに金融庁もいつまでも放置しておくはずもなく、、、

www.fsa.go.jp

news.yahoo.co.jp

先月からようやく規制が導入されることになった模様。

しかし、資産運用にまつわるこうした詐欺のような話は、どれだけテクノロジーが発達しようが繰り返されるものだなと痛感する。結局、一発大儲けしてやろうという強欲な投資家と、同じく強欲な(しかも違法行為に手を染めることすら厭わない)詐欺師が存在する限り、時や場所を問わず同じような事件は起きてしまうのだろう。なので、せめてこうした詐欺事件に巻き込まれないだけの知識と理性を保てるようになりたいものだ。

では、そうした知識や理性をどうやって身につけるのか?一連の記事を読みながら、騙されないために留意すべきことについて少し考えてみた。

  • 資産の分別管理がしっかりなされているか?
  • 利害関係をもたない第三者が資産の評価や監査等に関わっているか?
  • ガバナンスの構造はどうなっているか?
  • グループ会社の資本関係、役職員のオーバーラップ等はどうなっているか?
  • 金管理の権限(入出金の手続き)はどのようになっているか?
  • ストラクチャーの適切性(ストラクチャーの意図:集金マシンか否か?)
  • 運用成績の妥当性(運用戦略と市場環境に則したパフォーマンスか?)
  • 天才/カリスマ運用者には注意すべき!

うまい儲け話などないと心得るべし。もしそんな話が転がり込んできたら、最低でも上記のポイントはしっかり納得できるまで確認すること。天才トレーダーとか、「すごい会長しか触れない土地!(今年の夏頃にあったな、そんな話)」とかいうのも、いかにも怪しい話ですって言っているようなものだ。

ポンジスキームの場合、市場環境が悪化すると表面化することが多い。当たり前の話だが、市場環境が悪くなってくるとパフォーマンスの良し悪しに関わらず換金する投資家も増えてくるからね。逆にみんなが積極的にリスクテイクしている局面では、新しいカモがどんどん入ってくる(資金を預けてくる)から、ポンジスキームが問題なく機能することになる。そうした意味では、足元の市場環境を鑑みるに、また近いうちに表面化するポンジスキームが出てきても不思議ではない気もするな…。