香港碼頭日記

香港での生活を徒然なるままに、、、

ブラックスワン!

旧正月明けの週末は釣りに行くのを我慢して、ひたすら引っ越し作業。新しい住居は今のアパートから徒歩で20分ほどしか離れておらず、しかも家具付きのため一念発起して引っ越し業者を使わず全て自分で運ぶことにした。まあ、なんといっても新しい大家さんのご好意で家賃が発生するだいぶ前から部屋を使えるようにしてくれたのが大きい。

平日はどうしても運動不足になりがちなので、よいトレーニングと思って新しいアパート周辺の散策も兼ねて少しずつ荷物を運ぶ。運びなから新しい部屋のレイアウトや生活スタイルを想像して、必要なもの・不要なものをを考えるのはなかなか楽しいものだ。

前のアパートに比べると会社からは遠くなり、部屋もだいぶ狭くなったが、なんせ家賃がだいぶ削減できたのと、自分の生活圏には便利な場所(新しい住居は、猫ちゃんのいる例の釣り餌屋の近くでもある!)ということもあって、かなり満足度が高い。

ところでこの新居は、自分のフロアに行く際にエレベーター内でカードをかざして行先のフロアボタンを押すという仕組みになっている。この日も前の住居からの荷物を抱えながら新居のエレベーターに乗り込んで、片手でなんとかアクセスカードを取り出し自分のフロアボタンを押した。エレベーターのドアが閉まりかけたとき、急いで乗り込んできた人がいたので、カードを持った手でドアをホールドしようとした瞬間…閉まりかけたドアがカードにぶつかり、あろうことかアクセスカードは足元のエレベーターの隙間に吸い込まれていった…。

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アクセスカードが落ちて、エレベーターの隙間に吸い込まれていった…。

駆け込んできた人は無事エレベーターに乗り込み、アクセスカードを失って茫然自失状態の自分はとりあえずエレベーターを降り、レセプションにいる管理人に事情説明することになった。住み始めてわずか数日、こんな形でカードを紛失するなんて…、ニコラス・タレブが言うところの「ブラックスワン」現象が起きた瞬間だった。

このあまりにもレアな現象は管理人たちにも印象深かったのだろう。週明けに新しいカードが発行されるまでは、エレベーターに乗り込むたびに「XX階に越してきた、アクセスカードを落とした日本人」ということで、どの管理人も快くフロアアクセスを許可してくれたので生活に支障はなかったのだが…。

しばらくはアクセスカードをエレベーター内で取り出すたびに、もう一度落としてしまわないか、緊張してしまうことになりそうだ。

相貌認識力

えらく堅苦しいタイトルになってしまったが、香港でつくづく実感するのは、近所の茶餐廳とかで店員さんが本当によく自分の顔を覚えているということ。外国人だからということもあるかもしれないが、それにしても街中ですれ違ったときに会釈してくれたり(マスクをつけているから判別する難易度は高いと思うのだが)、何回か同じメニューを注文したら、そのこともよく覚えていて「今日もこのメニューでいいか?」と聞いてきたり、その相貌認識力の高さと記憶力の良さに驚かされることが多い。

それでふと思ったのが、複雑な漢字(繁体字)を使用していることが認識能力に影響しているのではないかということ。なんせ広東語は鹹とか廳とか複雑な文字も多いので、文字の習得を通じて自然と細かな違いを見分ける能力が鍛えられたりするのではないだろうか。

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組合字という四字熟語の漢字をひとつにまとめたもの。これは招財進寶(「宝を求めて前進すれば必ず蓄財を招き、子孫繁栄につなげることが出来る」という意味)。

顔を覚えてもらうことで地元の人達とちょっとした会話が出来るのは嬉しいが、ひとつ難点があって、行きつけの茶餐廳では「いつものメニュー」以外のメニューを注文しづらくなってしまうんだよな。

Python

Pythonと聞くとIT業界のひとはプログラミング言語を想起するかもしれないが、表題は蛇のPythonについて。前職の同僚が昨年リタイアして今は南丫島で暮らしているのだが、先日その同僚が「フェリー乗り場に歩いて向かう途中で、Pythonに遭遇したよ!」とチャットで写真を送ってくれた。

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これが友人が送ってくれたPythonの写真(南丫島にて)。なかなかインパクトある…

離島に釣行に出かけると、ほとんど人がいないトレイルを通ることが多いのだが、なぜか「香港は安全」という意識が強くて、危険な目に遭うことをほとんど想定していなかった。まあ、Pythonは毒性がないらしいから見た目ほどは恐れる必要はないかもしれないが、本当は蛇に限らず、それこそ足を挫いて歩けなくなったり、ハチに刺されたりしたときにどのように対処するか、ある程度準備しておく必要がありそうだ。

以前、知人に「スマホの電波も届かなくて、ほとんど人もいないところで釣りしていると最高ですよ」と喜々として語ったら、「周りに人がいないと怪我したとき大変だから怖くない?」と質問されたことを思い出した。たしかにおっしゃる通り…。どういうわけか昔から落ち着いていて良識ある大人に見られることが多いのだが、実際はときどき無謀なことをしでかす傾向があることを自覚しよう。

小棕林(Little Palm Beach)

意外と天気がもちそうな感じだったので昼過ぎから將軍澳の北東にある小棕林(Little Palm Beach)に初釣行。この付近は海を見下ろす場所に高級感のある邸宅がいくつもあって、ランタオ島のサーフの釣りスポット周辺とは全く趣きが異なるエリアだ。

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小棕林海灘にアクセスする途中には海を見下ろす立派な邸宅が並んでいる。

釣りスポットとしての認知度は高いようで、6~7人ほど釣りをしていた。ざっと見たところエギングしている釣り人が大半で、どうやらアオリイカを狙っている様子だった。岩場の周辺には藻が生えている場所が多かったので、たしかにアオリイカが居そうな雰囲気ではあった。

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小棕林海灘の岩場。デートスポットでもあるらしく、釣り人以外にもカップルがまったりして景色を眺めていた。

今回は餌としてエビの切り身を使ってみたり、ワームやメタルジグを投げたり、最後はエギングを試したりと2時間少々のあいだに色んなことを試してみた。エギングはそれほど根がかることも無かったが、餌釣りで根魚を狙おうとすると結構根がかってしまい、そのくせ魚のあたりは殆どないという嬉しくない状況だった。周囲の釣り人も同じような感じだったと思う。残念ながら、新規開拓ならず。

芝麻灣半島

曇りときどき小雨といういまいちの天気だったが、サーフで色々と試してみたかったので朝から釣行。今回は久しぶりに芝麻灣半島の南側にある大浪灣に向かった。

梅窩から大澳行きのバスに10分ほど乗って、老囲村の停留所で下車。そこから鹹田(Ham Tin)を経由して芝麻灣半島の西側のトレイルを6キロほど歩くと大浪灣に到着する。

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曇天の大浪灣。時おり小雨も降るような天気だったが、昼過ぎから若者が10名ほどキャンプの準備をしていた。

わざわざアクセスの悪い大浪灣まで来て試したかったのは、ジグヘッド+ワームとメタルジグ。先週のマゴチが忘れられず、「キスがいるところには、それを捕食するヒラメやマゴチがいるはず!」との思いと、アオイソメに頼らずにルアーやワーム(疑似餌)で釣果をあげたいという気持ちが重なったというわけだ。

けれどもそう簡単に思惑通りにいくわけもなく、結果としては10時頃から4時間ほど粘ってキス4匹とコトヒキ1匹。いずれも従来通りのアオイソメでの釣果ということで、残念ながら疑似餌の新境地を開拓することはできなかった。

これまでは来たトレイルを引き返して帰路についていたのだが、何の収穫もない釣行も味気ないと思い、今回は大浪灣から芝麻灣半島を北上し、芝麻灣碼頭に抜けるルートを試してみた。ちなみにこのルート、Google Mapだとトレイルが確認できないのだが、アウトドアショップで手に入れた地図だとしっかり記載されている。

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これが以前アウトドアショップで購入した地図。香港全域を4つの地図でカバーしている。Googleは便利だが、頼りすぎるのも考えものかもしれない。

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芝麻灣半島の龍尾。複数のトレイルが交差している重要なポイントだが、一部のトレイルは進入禁止になっていたりして非常に分かりづらい。

大浪灣から少し歩くと小さな集落があって、私道と思しき細い道を通り抜けて龍尾に向かう。特に険しい道もなく、意外とあっさり芝麻灣碼頭に出ることが出来た。実際のところ、行きに通った西側ルートと比べると若干近道かもしれない。

ちなみに龍尾の東側にもトレイルがいくつもあるようなのだが、この辺りはGoogleマップには全く載っていない。

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今回のルート。実際には上図の香港とLautau Islandを結ぶルートを通ったのだがGoogleマップではカバー出来ていないようだ。

この芝麻灣半島の東側はひょっとすると掘り出し物の釣りスポットがあるかもしれない。いい年して冒険心がくすぐられる。今度は梅窩からフェリーで芝麻灣碼頭に出て東側をランガンしてみるかな。

期待に応えなくていい

高校2年生が、共通テストの受験会場となっていた東大前で受験生を含む3人に切りつけるという事件。人の抱えている悩みは本人にしか分からないものだから軽率なことは言えないが、恐らくこの少年は今まで周囲の期待に応え続ける生き方をしてきて、期待に応えることが絶対的な目的になってしまったのではないかという印象をもった。

nordot.app

学生時代に人より勉強ができると、両親や周囲は「優秀だね」とか「頭がいいね」と褒めそやしがちだが、まあ試験でよい点数がとれることと頭がいいことはイコールではない。試験でよい点数はとれるが頭がよくない人間もいるし、頭がいいけど試験でよい点数をとることに大して意味を見出せない結果、試験の点数は悪い人間もいる。少しきつい言い方かもしれないが、この高校2年生は勉強はできるけど頭がいいとは言えないだろう。

周囲の期待に応えるのって、気持ちいいものだと思う。だけどこれは一種の麻薬のようなもので、期待に応え続けているといつしか自分のやりたいことを見失い、周囲が求める人生を生きるようになってしまうリスクがある。そして期待に応えられなくなると、自分の人生が破綻したと考えてしまいがちだ。ピュアであるからこそ、期待と現実のギャップが生じたときに柔軟な調整ができないのかもしれない。

そんなに周囲の期待に応えなくていいよ、と言いたい。期待に応えようが応えまいが、他人は自分の人生の責任をとってくれるわけではないのだから。

トレーニング

さすがに昨日のランガンの疲れもあって今日は休養日。朝方は曇天だったが、ゆっくり朝食をとった後、掃除をしていると少しずつ晴れてきた。そうなってくるとやっぱり釣りに行きたくなってくる。少し思案して昼過ぎから西營盤にある行きつけの店で飲茶をした後、中山記念公園から海沿いを少し西側に行ったところにある埠頭でキャスティングの練習をすることを思いつく。

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本日のキャスティング練習場所からの風景。天気もよく、気温も20度を超えていて半袖でもよさそうな陽気だった。

次のステップとしてルアー釣りをもう少し試したいと思っているので、20グラムのメタルジグを投げる。結構釣り人は多いのだが、ルアーを投げている人は見当たらない。キャスティングの練習なので駄目元で投げているのだが、「ひょっとしたら大物がかかるかも…」と淡い期待を抱きつつ「表層早巻き」をやってみる。

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埠頭には結構釣り人が多かった。大抵は足元を狙っているがあまり釣れている様子はなかった。

まあ、そんなに簡単に釣れるわけもなく、「表層早巻き」もアクションを入れると早巻きのペースが変わってしまったりして、なかなかイメージ通りにはいかなかったが、それでも手軽に良いトレーニングができてよかった。